歯の健康づくりに役立つ知識

早めの対策が大切な歯周病予防のためにできるケア

歯周病の予防のためにできるケア

歯周病は進行すると歯がグラグラしたり、ひどくなると歯を失ってしまう怖い病気です。
歯周病は自覚症状が少なく、いつの間にか進行するので、早期発見・早期治療が大切です。
感染の原因になるプラークを除去することが重要なので、歯周病の予防のためにできるケアについて詳しくご紹介します。

歯周病の原因

歯周病はお口の中にいる歯周病菌が増殖しておこります。
歯周病菌は汚れを好み、歯に残ったプラーク(汚れ)に付着して、炎症を引き起こします。
歯周病を予防するには、このプラークを歯磨きで除去してお口の中を清潔な状態にすることが大切です。
プラークは唾液中のカルシウムと結合して2~3日で石灰化をはじめます。
そして、約2週間で硬い歯石になるのです。
歯石になると、いくら歯ブラシでゴシゴシ磨いても自分で落とすことができません。
この段階になると歯科医院でのクリーニングが必要になってしまいます。
石灰化が始まる前に毎日のケアで丁寧に汚れを落とすことが大切です。

歯周病の予防方法

丁寧な歯磨き

歯磨きの大切さ

歯みがきの大きな目的は汚れを落とすことです。
お口に残った汚れの中には歯周病菌や虫歯菌が多く潜んでいますが、見た目には白い色をしているため念入りに磨かないと『プラーク』が残ってしまいます。
プラークは歯にしっかり着いて、うがいをするだけでは完全に落とすことができません。
そのため、歯磨きで細かく汚れを落としていくことが必要です。
歯みがきで歯周病菌や虫歯菌が多く含まれている『プラーク』を除去してお口の中の環境を整えましょう。

歯磨きのやり方

歯ブラシを当てる時に汚れが残りやすい3つの場所

1,奥歯のかみ合わせ

奥歯のかみ合わせの部分は、かむ面の溝に歯ブラシの毛先が当たるように細かく磨きましょう。
2本程度を目安に前後に動かします。

2,歯ぐきの境目

歯の面だけを意識すると歯ぐきの境目に汚れが残りがちです。
歯の面を磨いた後に、歯ぐきの境目に歯ブラシを45度に当てて細かく動かしましょう。

3,歯と歯の間

歯と歯の間は歯ブラシが当たりにくいので、プラークが残りやすく歯周病や虫歯のリスクの高い場所です。
歯と歯の間は歯ブラシだけでケアをしていると、6割程度しか汚れが落とせません。
その足りない分をデンタルフロスや歯間ブラシを併用すると9割程度まで汚れを落とすことができます。
まず、歯ブラシは歯と歯の間に入り込むように細かく動かします。
その後にデンタルフロスや歯間ブラシを使用します。
デンタルフロスは歯と歯の間に使用して、歯間ブラシは歯と歯の間にすき間ができた時に使用します。

これらの3つの場所は汚れが残りやすいので、注意して念入りに磨く必要があります。

デンタルフロスの種類

デンタルフロスは糸巻きタイプとホルダータイプがあります。
ホルダータイプは初めての方でも使いやすいです。
糸巻きタイプは必要な分だけ使用することができますが、慣れるまで少しコツが必要です。
ただ、経済的で費用を抑えることができます。

デンタルフロスの使い方

〇糸巻タイプ

  1. デンタルフロスを40センチくらい用意します。
  2. 両手の中指に2~3回巻き付けて15センチくらいになるように調整してたるまないようにピンと張ります。
  3. 両手の親指とひと差し指で挟んで固定します。
  4. 歯と歯の間の所に合わせて、のこぎりを引くようにゆっくり歯の面に沿わせて動かします。
    この時、隣あった前の面と後ろの面を分けて汚れを落とします。
  5. 取り出す時も、ゆっくり動かしながら外します。
    被せ物などで外れにくい時は無理に外さずに、片方の糸を外して引き抜くようにしましょう。

〇ホルダータイプ

  1. 歯と歯の間に合わせて、糸の部分を当てましょう。
  2. 少しずつのこぎりを引くようにゆっくり動かして入れていきます。
    歯の前の面と後ろの面に分けて動かします。
    この時勢いよく入れると、歯ぐきを傷つけてしまうことがあるので、ゆっくり動かしましょう。
  3. 取り出す時もゆっくり動かしながら外しましょう。

〈デンタルフロスを使用する時のポイント〉
・鏡を見て、入れている位置を確認しながら行いましょう。
・1日1回程度歯磨き後に使用しましょう。
・糸がボサボサになる時は、虫歯や歯石が着いている可能性があります。歯科医院で相談してくださいね。
・歯と歯にすき間ができている時には歯間ブラシに変更しましょう。

歯間ブラシの使い方

  1. 鉛筆を持つようにすると操作しやすくなります。
  2. 先を斜めに向けてゆっくり歯と歯の間に入れます。
  3. 歯間ブラシを水平にして、歯の面に合わせて2~3回程度動かします。
    奥歯は内側と外側の両方から行うと汚れが残りにくいです。
    使った後は水洗いして乾かしましょう。

〈歯間ブラシを使用する時のポイント〉
・歯と歯のすき間に合ったサイズを選択しましょう。
・歯間ブラシを入れる時は、キツさを感じず抵抗がなく入れられるものを選びましょう。
・場所によってすき間の大きさが違う時はそのすき間に合った歯間ブラシを使い分けましょう。

歯ブラシの当て方の3つのポイント

  1. 1~2本を目安に細かく磨きましょう。
  2. 毛先が広がらない程度の優しい力で磨きましょう。(100~200グラム程度)
  3. 歯ブラシは、歯の面に当てて磨きましょう。
    また、歯ぐきの境目は歯ブラシを45度位に角度をつけて歯ぐきの境目に入り込ませるようにして細かく磨きましょう。

お口の歯並びに合った磨き方をしましょう

デコボコの歯並び

歯並びが悪い部分は毛先が届きにくい部分です。歯ブラシを横に当てていくと磨き残しが出てしまうので、へこんでいる部分は一本ずつ縦に当てて磨きましょう。

前歯の裏側

前歯の裏側も汚れが残りやすい部分です。歯ブラシのかかとを使用して縦に磨きましょう。

歯磨きのポイント

就寝前の歯磨き

寝ている時は唾液が減ってお口の中の細菌が増殖する環境になります。
これは、唾液が減少すると唾液の『自浄作用』や『抗菌作用』が弱まって細菌に対抗しにくくなるためです。
また、朝起きた時に口臭がするのは唾液が減少して細菌が増えたことが関係しています。
夜寝る前は特に念入りに歯ブラシを当てて汚れを落としましょう。

歯周病の歯ブラシの選びのポイント

毛先が細いもの

毛先にはふつうのものと毛先が細いものがあります。
歯周病の方におすすめなのが、歯ぐきの境目に入り込みやすい『毛先が細いもの』です。
また、歯周病の方は歯ぐきが腫れていることも多いので、歯ぐきの負担も少ないです。

ヘッドの大きさ

ヘッドのサイズはお口のサイズに合っていることが大切です。

小さめのヘッドがおすすめの方

大きめなヘッドがおすすめの方

毛の硬さ

毛の硬さは硬めのものだと、炎症を起こしている歯ぐきは負担がかかることが多いです。
ただ、やわらかすぎるものだと汚れが落としにくい場合があるので、ふつうの硬さを目安に歯ぐきの状態によって少しやわらかめの歯ブラシが良いこともあるでしょう。

歯ブラシ選びに迷った時は、定期健診の時にお口に合った歯ブラシを確認しましょう。

取り換えの目安

歯ブラシは毛先が開いてきたら交換する目安ですが、見た目が変わらなくても1カ月に1度は歯ブラシを交換しましょう。
毎月日にちを決めて歯ブラシの交換日にすると交換し忘れを防ぐことができるので、おすすめです。

歯磨き粉の選び方

歯周病の歯磨き粉でおすすめの成分

IPMP
浸透殺菌効果が入っているIPMP(イソプロピルメチルフェノール)は効果的に歯周病菌を殺菌します。
歯周病になりにくいお口の環境を作るには、殺菌効果が入っていると歯周病菌を殺菌して付着するのを防ぎます。

イプシロン-アミノカプロン酸トラネキサム酸
歯ぐきの腫れがある時には抗炎症作用があるイプシロン-アミノカプロン酸トラネキサム酸が入っているものがおすすめです。

アラントイン
歯ぐきの衰えが気になる方は組織修復作用があるアラントインが入っているものがおすすめです。

ビタミンE
ビタミンEは血行促進作用があり、歯ぐきが活性化するので歯ぐきが修復する働きを助けます。

そのほかには、フッ素が配合していると、歯を強くする働きがあるのでフッ素が一緒に入っているものもおすすめです。

毎日のセルフケアが大切

歯周病の大きな原因はお口の磨き残しのプラークですが、磨き残しがあると、2~3日程度で石灰化し始めます。
そのため、毎日の自宅でできるセルフケアがお口の環境を整えるカギを握っています。
毎日汚れを落とすために、歯ブラシやデンタルフロスなどのお話をさせていただきましたが、効果的に自宅でケアができるケア用品もあるのでご紹介します。

自宅でできるケア用品

電動歯ブラシ

お口の汚れは手で磨く歯ブラシだけでなく、電動歯ブラシもあります。
電動歯ブラシはヘッドが動くもので、動く速度で『音波ブラシ』と『超音波』ブラシものに分けられることもあります。
ヘッドが動くので歯の面に当てるだけ左右に動かす必要はありません。

〈メリット〉

〈デメリット〉

メリットとデメリットを比較してご自身に電動歯ブラシが合っているか参考にしてみてくださいね。

うがい薬

ドラックストアなどでも多く見かける液体のケアうがい薬は『洗口液』と『液体歯磨き』の2種類あります。
これらの違いですが『洗口液』は歯磨きをした後に使用して、マウスウォッシュやオーラルリンスと書かれていることもあります。
『液体歯磨き』はうがいをしてから歯磨きをするもので、デンタルリンスと書かれていることもあります。
歯周病の予防には歯磨きをした後に『洗口液』を使用するのがおすすめです。
歯みがきでプラークを除去して、洗口液で殺菌効果が付着して汚れが着きにくいお口の環境になります

定期的な歯科検診が大切

自覚症状が少ない歯周病は、早期発見・早期治療がとても重要です。
手遅れになったり、痛みが出てから来院するのではなく、定期的な健診で少しの不具合があった時に治療ができます。

歯科検診で行うこと

生活習慣を見直す

バランスの良い食事する

偏った食事をしていると、抵抗力が弱くなって歯周病菌が増えやすい環境になります。
色々な食品をバランス良く食べて、免疫力を高めることは歯周病予防につながります。

たばこは歯周病のリスクなのでできるだけ控える

たばこの有害物質は血管を収縮させて血流の流れを悪くします。
また、酸素が少なくなり、歯ぐきの栄養不足になります。
そうすると、免疫力が低下して歯周病菌が増殖しやすくなり、歯周病のリスクになります。

間食が多い

お口の中の糖分を栄養にして、細菌はプラークを作ります。ダラダラ甘いものを食べる習慣はやめましょう。

あまりかまずに食べる

あまりかまずに食べると唾液の分泌があまり促されません。
しっかりと良くかむことで唾液が出やすくなり、汚れを洗い流す作用が活発化するので、しっかりかんで食べましょう。

口呼吸をしない

口呼吸はお口の中が乾燥するので、細菌が増殖しやすくなります。
口呼吸ではなく鼻呼吸をしましょう。ストレスをためない生活を心がける
ストレスを感じると、唾液の分泌が少なくなりお口が乾燥しやすくなります。
お口が乾燥すると細菌が増殖して歯周病のリスクが増える場合や、歯周病が悪化しやすくなります。
運動やストレッチ、好きな音楽を聴くなどリラックスができる方法でストレスを解消してくださいね。

歯ぎしりの対策をする

歯ぎしりが強いと、強い力が加わって歯ぐきに負担がかかります。
就寝中は意識することが難しいので、歯を守る『マウスピース』をはめましょう。

歯周病の予防をするには、磨き残しを無くしてお口の中をキレイな状態に保つことです。
そのためには、自分に合ったブラッシング方法とケア用品で毎日丁寧に汚れを落としましょう。
毎日のケアで足りない部分は定期健診でクリーニングできますし、ケアでわからないこと、ケア用品の使い方なども確認ができます。
毎日のケアを充実して歯周病を予防しましょう。

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